少女趣味こーなあ 長屋版

長屋の今月の少女趣味こうなあ

十四

『ヒロシマというとき』    栗原貞子

 

〈ヒロシマ〉というとき

〈ああ ヒロシマ〉と

やさしくこたえてくれるだろうか

〈ヒロシマ〉といえば〈パール・ハーバー〉

〈ヒロシマ〉といえば〈南京虐殺〉

〈ヒロシマ〉といえば 女や子供を

壕のなかにとじこめ

ガソリンをかけて焼いたマニラの火刑

〈ヒロシマ〉といえば

血と炎のこだまが 返って来るのだ

 

〈ヒロシマ〉といえば

〈ああ ヒロシマ〉とやさしくは

返ってこない

アジアの国々の死者たちや無告の民が

いっせいに犯されたものの怒りを

噴き出すのだ

〈ヒロシマ〉といえば

〈ああヒロシマ〉と

やさしくかえってくるためには

捨てた筈の武器を ほんとうに

捨てねばならない

異国の基地を撤去せねばならない

その日までヒロシマは

残酷と不信のにがい都市だ

私たちは潜在する放射能に

灼かれるパリアだ

 

〈ヒロシマ〉といえば

〈ああヒロシマ〉と

やさしいこたえが

かえって来るためには

わたしたちは

わたしたちの汚れた手を

きよめねばならない

 

熊さん アメリカでは、今でも原爆によって戦争が早く終ったという話になるそうですね。また必ずこの詩のように、リメンバー・パールハーバーと言う言葉がでてきますもんな

虎さん 日本だって負けとへんで。あの戦争は、米英に石油をはじめとする物資を止められた正当防衛の戦争や、ってよくいうもんな

ご隠居 例えば自分の親や子どもが突然死ねば、どんなに悲しいかを考えれば、なんでわざわざ戦争なんかするんやろと思うけど、集団での暴力事件では、このままじゃ危ないと思っても、威勢のいい言葉に押されて暴力行為がエスカレートすることが多いって話もあるので、国自体がそんな感じの集団になると、怖いわなぁ。

熊さん そうですなあ、威勢のいい言葉には気をつけなあきませんな。今選挙や気をつけよ。